虫と地衣類

地衣類は生態系の一部ではありますが,一方,小さな生態系とも言えます.地衣類に虫やその他小さな動物が潜み,隠れ,また,食しています.ここでは,そのような虫と地衣類の関わりを紹介します.

虫の擬態

擬態:地衣類にひそむ,まとう,まねる

樹皮や岩肌はほとんど地衣類で覆われていると入っても言い過ぎではありません.樹皮や岩肌を生活の場にしている虫たちにとって,地衣類は身近な存在と言えるでしょう.地衣類に潜むことで,地衣類を纏うことで,また地衣類を真似ることで,外敵特に、鳥たちから身を守ることは虫たちの長い生存の歴史から必然だったと思えるのです.
 一部の蛾の同定は河合正人氏にお願いしました.

ウメノキゴケとキノカワガゴマケンモン痂状地衣とオオトビスジエダシャク
京都府八幡市石清水八幡宮秋田県十和田湖畔沖縄県名護市嘉津宇岳
2015年12月18日2014年7月14日2016年3月12日
レプラゴケの仲間とコマダラウスバカゲロウの幼虫>レプラゴケの仲間とカレハガの幼虫
兵庫県姫路市自然観察の森愛知県瀬戸市岩屋堂公園
2016年4月27日(井内氏撮影)2016年4月30日(上杉氏撮影)
コフキヂリナリアとシマコヤガの仲間の繭マツゲゴケとコヤガの仲間の黄金繭
大阪府東大阪市枚岡公園奈良県大和郡山市奈良学園
2015年7月24日2018年3月30日

コヤガの仲間の一生とレプラゴケの仲間

2016年5月10日に愛知県瀬戸市岩屋堂公園でコヤガの仲間の幼虫を2匹採集し,自宅に持ち帰りました.1匹は翌11日に蛹化しました.残りの1匹には近くの公園で採集したレプラゴケの仲間(岩屋堂公園のものとは多分別種)を食べさせ,これも後に蛹化しました.先に蛹化した1匹は25日に羽化しました.ネットのヤガ科コヤガ亜科の成虫写真を見ると,地衣を纏うことで有名なシラホシコヤガではなく,シロスジシマコヤガであるような気がします.
 
シロスジシマコヤガの幼虫シロスジシマコヤガの蛹(初日)シロスジシマコヤガの成虫
愛知県瀬戸市岩屋堂公園寝屋川市自宅寝屋川市自宅
2016年5月10日2016年5月11日2016年5月25日

コヤガの仲間の幼虫の生態観察シロスジシマコヤガの幼虫飼育中,摂食行動
福岡県みやま市清水寺寝屋川市自宅
2016年4月24日2016年5月12日