京都には古い歴史とあいまって,沢山のお寺や神社があり,そこにはおいしい食べ物があります.同時に地衣類にも恵まれています.ここでは名所旧跡とおいしい食べ物,そこに可憐に生きる地衣類を紹介します.
京都府立植物園は1924年の開園で,北は北山通りに,南はほとんど北大路までの広い面積(24 ha)を有する.建設当時日本最大級の大温室や半木の森がある.北山通りにはこじゃれた洋風レストランが多いが,ちょうど北門前あたりに紹介するケーキ屋「北山マールブランシュ」がある.京都は和菓子と思っていたが,なかなかのものである.
先に訪れた御苑と同様に京都市内にある府立植物園であるが,地衣類はやはり豊富.ウメノキゴケ科やムカデゴケ科の地衣類を多種みることができた.
京都府立植物園 | ||
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北門 | 大温室を臨む | |
ミルフィーユ | ||
北山マールブランシュ | ミルフィーユ | |
地衣類 | ||
ヒカゲウチキウメノキゴケMyelochroa leucotyliza | マツゲゴケParmotrema clavuliferum | |
コナヒメウメノキゴケParmeliopsis spumosa | クロウラムカデゴケPhaeophyscia limbata |
京都御苑は京都御所の中にある開放された庭,京都の中心部にこれだけ広い敷地占めているのは感動ものである.北は今出川通り,南は丸太町通り,優に地下鉄一駅分である.今は東京起源のように思われている「とらや」は室町時代後期に京都で創業.明治天皇の東京行幸に伴い,御用達の菓子司として東京進出した。京都御所の隣,烏丸一条西入,中立売御門近くの「虎屋菓寮」で食した「虎屋饅頭」は「とらや」伝統の最高の一品である.
京都の中心にある御苑は驚くべきことに,地衣であふれて,まるで暖温帯地衣類の博物館のようだった.ウメノキゴケ,マツゲゴケ,キウメノキゴケ,シラチャウメノキゴケはもちろんナメラカラクサゴケ(ちょっと枯れかけてる)まであった.
京都御苑 | ||
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中立売御門 | 御所建礼門を臨む | |
虎屋饅頭 | ||
虎屋茶寮 | 虎屋饅頭 | |
地衣類 | ||
ナメラカラクサゴケParmelia praesquarrosa | マツゲゴケParmotrema clavuliferum | |
クロウラムカデゴケPhaeophyscia limbata | コガネゴケChrysothrix candelaris |
今宮神社は京都盆地北西部紫野にあり,近くには大徳寺がある.地下鉄北大路駅から西へ約20分歩いたところにある.創建は994年,応仁の乱で焼失するが,豊臣秀吉が再建した.織物で有名な西陣地区を氏子とするためにその祭りの規模も比較的大きい.名物のあぶり餅を売る店が参道に2軒ある.どちらも古い歴史をもっている.
境内の樹木にはウメノキゴケ属やレプラゴケ属,コガネゴケ,コフキジリナリア,露岩には,ハナゴケ属,ヤマトキゴケ,痂状地衣類が観察された.
今宮神社 | ||
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楼 門 | 拝 殿 | |
あぶり餅 | ||
あぶり餅屋 | あぶり餅 | |
地衣類 | ||
ヒメレンゲゴケCladonia ramulosa | ヤマトキゴケStereocaulon japonicum | |
ウメノキゴケParmotrema tinctorum | ヘリトリゴケPorpidea albocaerulescens |
下鴨神社は正式には「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」と呼ばれる.奈良時代以前から神社の祭りである葵祭が行われていた記録があり,かなり古い時代に創建されたと思われる.東西二つの本殿があり,西殿に賀茂建角身命,東殿に玉依媛命が祭られている.京阪出町柳駅から徒歩で約15分のところにある.境内は糺の森と呼ばれ、南北約600 m東西約200 mの常緑広葉樹の森である.西参道を出て鴨川本通にあるのが1922年創業の加茂みたらし茶屋である.御手洗池にわき出る水の泡を形取ったものとされるみたらし団子の発祥の店と言われる.
下鴨神社境内や神社近くの鴨川公園の樹木には痂状地衣類や葉状地衣類,石垣や露岩には痂状地衣類が多数観察された.
下鴨神社 | ||
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一の鳥居 | 楼 門 | |
みたらし団子 | ||
加茂みたらし茶屋 | わらび餅(左)とみたらし団子(右) | |
地衣類 | ||
シラチャウメノキゴケCanoparmelia aptata | クロウラムカデゴケPhaeophyscia limbata | |
ロウソクゴケCandelaria concolor | モエギトリハダゴケPertusaria flavicans |
京都以外にも日本には古い歴史をもつ沢山のお寺や神社があります.もちろんそこにはおいしい食べ物があり,同時に地衣類にも恵まれています.ここでは京都以外の名所旧跡とおいしい食べ物,そこに可憐に生きる地衣類を紹介します.
福岡県太宰府市にある天満宮,もちろん祭神は菅原道真公である.京都北野の天満宮と並び日本の天満宮の代表である.宮内にはゆかりの梅園が広がっている.梅と同様に大宰府天満宮で有名なものに「梅が枝餅」がある.参道には何軒もの梅が枝餅屋が並んでいる.
梅園の梅の木にはたくさんのウメノキゴケ科地衣類の着生が見られる.初めて訪れた35年前にはこれほど多くの地衣類を見ることがなかった.環境が良くなったためであろうか.長い間わからなかった石鳥居に付いていたダイダイゴケがアツミダイダイゴケであることを確かめた.
大宰府天満宮 | ||
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大石鳥居 | 本殿 | |
梅が枝餅 | ||
参道に並ぶ梅が枝餅屋 | 梅が枝餅 | |
地衣類 | ||
ナミガタウメノキゴケParmotrem austrosinense | キウラゲジゲジゴケHeterodermia obscurata | |
コナカワラゴケCococarpia palmicola | アツミダイダイゴケCaloplaca cinnabarina |